経営に終わりはない (文春文庫)経営に終わりはない (文春文庫)
藤沢 武夫

文藝春秋 1998-07
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本日のサプリ
本書は、本田技研工業(HONDA)のもう一人の創業者と呼ばれる藤沢武夫さんが、自らの経験や判断の軌跡を振り返る一冊です。
HONDAと言えば、技術に情熱を燃やし、数々の革新的技術を生み出した本田宗一郎さんがあまりにも有名です。しかし、そのHONDAが現在の地位を築けたのも、名参謀として活躍した藤沢武夫さんの存在があったからです。

藤沢さんの経営の特に素晴らしい点は、
私が行ってきた経営判断は、すべて本田宗一郎がいなくなったらどうするかというところから発想されたことです。本田の未知への探求という基本は貫かなければならないけれど、彼個人の挑戦には限界があります。彼の知恵を尽きても、それに変わるものがどんどん現れてくるような、それでも逆に企業が伸びてゆく様な組織体をつくったつもりです。
と述べるように、一人のカリスマに頼り切ることなく、10年、20年先を見据えた長期的な組織作りを行ってきた点だと思います。

加えて、
・ 市場機会があっても、2輪を極めるまで4輪に参入しない
・ 商社を使わず、時間と労力はかかるが現地法人をつくる
・ 自分たちの能力が未熟なうちは、コンピューターを入れない
など、一見遠回りでも「急がば回れ」の精神で着実な経営を行ってきたことが伺えます。

そんな彼の経営精神は、
初代の経営者の役割の一つは、後継者に経営の元本をしっかりと受け渡すことです。2代目、3代目の経営者は、もちろん優秀な人材であることはまちがいない。しかし、彼らが仕事をしやすいように、経営のタテ糸をこわさずに伝えることは、創業者のつとめなんですね。次代の人が経営しやすいように配慮しなければならないのです。
という言葉に現れているのではないでしょうか。

最近では経営のフレームワークが存在しますが、フレームワークがほとんどない時代に、著者が、悩み、悩み抜いて、考え、考え抜いて、実行してきた経営者から発せられる言葉の数々は、単なる自伝というよりも、それだけに重みと深みのある本です。

経営というものは、題名にもある通り、
たいまつの火が次から次へと受け継がれてずっと続いていくものであり、決して終わりは無い
ということが理解できると思います。ぜひ、ご一読ください。

■目次紹介
1.生命をあずかる仕事
2.思いがけぬ危機
3.本業以外に手を出すな
4.万物流転の法則
5.経営者の心構え
6.模索と学習の日々
7.たいまつは自分で持て
8.海の向こうへ
9.頭の切り替え
10.本田かぶれ

■著者紹介
明治43(1910)年、東京生まれ。京華中学校卒業後、日本機行研究所を設立。戦後、本田宗一郎を知り、昭和24(1949)年、本田技研工業工業に常務として入社。経営を担当し、技術部門を担った本田とともに、世界のホンダの基盤をつくる。39年副社長、48年には第一線から退き取締役最高顧問となり、58年取締役を退任。この間52年4月には紺綬褒章を受賞。63年12月30日没。享年79歳。従四位勲三等朝日賞を受賞。
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